日 時 2023年9月10日(土) 13:30 開演(12:45 開場)
会 場 鎌倉芸術館大ホール
出演 鎌倉混声合唱団ムジカおさらぎ ムジカおさらぎオーケストラ
指揮 佐藤ゆり ピアノ 高須亜紀子
佐藤望
ゲスト ピアノ 北原葉子
第3ステージ オーケストラの響きと共に
「とにかく楽しんで。これは上等な遊びなんだから。」と佐藤ゆり先生が練習の時におっしゃられたことにびっくりしました。そして同時に好奇心を掻き立てられました。あんなに熱心に細かくひとつひとつの箇所を指導し、演出しているのに。それを全部ひっくるめて「どうでもいいんだから」と言えるなんて。なんてアバンギャルドで斬新なんだろう。プレッシャーを感じて緊張し過ぎて、出ない、というのでは、もったいない。オーケストラと一緒に歌うのはとっても気持ちいいのだから。ひとをオープンな気持ちにさせる本番というのは、一体どんな感覚なんだろうと考えて、迎えた当日。
難曲の数々も、火事場の馬鹿力というのでしょうか、不思議にやすやすと美しい響きがホールの天井めがけて立ち上っていきました。「忘れな草」も優しく、「遠き山に日は落ちて」もまるで夕日に包まれたように暖かく、「ペルシャの市場」は端切れ良く、「ナポリは恋人」も快活に、「フィンランディア」は荘厳に、アンコールの「ハレルヤ」は思い切りよくのびのびと自由に、送り出されていきました。私のところからは座り込む方や転ぶ方は見えませんでした。みなさん、ご無事でしたでしょうか。始まる前は長い時間だと思っていたのですが、あっという間でした。何より皆さんの底力と体力に驚きました。ボリュームをセーブして当日に備える、そんな技を教えてくださった方もいました。なるほど。いつもの練習は遠くの指揮ですが、本番の舞台の上は先生の指揮に近くて、口元も読めて、リズムも取りやすく、歌いやすく、それだけでも楽しかったです。なんといってもたくさんの人で舞台に上がる心強さは、格別なんですね。一体感というのでしょうか。
一番嬉しかったのは、歌い終わったあと、ブラボーと声がかかったこと。その途端、あ、これはコンサートだったんだ、聞いてくれた人が即座に評価をくれている、あんなにたくさんの人が笑顔をくれている、ということに、本当にびっくりしました。急にひとりひとりの顔が目に入ってきました。目はそんなに良くないのですが、笑っていることはわかります。あの光景は、死ぬまできっと忘れられないと思います。見たことのない光景でしたから。
なんということでしょう。人生の中でも稀有な体験を、入会まもない私にくださった皆様に心から感謝いたします。これからも精進して体を鍛え少しでも長く歌い続けられますよう日々気をつけ工夫して参ります。今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。
報告者:内田美弥子(ソプラノ)