日 時 平成24年4月14日(土)13時30分開演(12時30分開場)
会 場 鎌倉芸術館大ホール
出 演 混声合唱団ムジカおさらぎ ムジカおさらぎオーケストラ
指 揮 佐藤ゆり ピアノ 高須亜紀子
定期演奏会を終えて
4月14日(土) 小雨
昨年の東日本大震災直後の計画停電実施の心配のなかで開催した定期演奏会から早くも1年が過ぎました。
この日午後1時が近づくころから、あいにくの雨で足元の悪いなか、しかも
10度そこそこの低い気温と数メートルの北風にもかかわらず、ありがたくもおおぜいのお客さまが、鎌倉芸術館に続々とおいでくださり、開演のときには1階2階客席はほぼ満席になりました。
今年もまた、私たちは定期演奏会を、東日本大震災復興支援と地雷被害者支援を掲げたチャリティーコンサートとしました。東日本大震災ではあまりにも深甚なダメージが生じ、復興にむずかしい課題が多いせいでしょうか、必ずしも復興が思うに任せないようです。私たちは東日本の人びとへの手助けの一端を及ばずながら担いたいものと念じました。
第1部では「懐かしの映画音楽」を8曲歌いました。日本公開時期でみてもっとも古い映画は「風と共に去りぬ(タラのテーマ)(1952年)」、新しい映画は「ゴッドファーザー(愛のテーマ)(1972年)」、ちょうど20年に及ぶこの年月、広く国民の娯楽だった
画がすこしずつ斜陽化していったこの時期、団員たちにとってどの映画が記憶に残ったでしょうか?
出だしでやや硬かった私たちの声は、プログラムの進行とともに伸び伸びとしてきて、しっかりした歌になっていったような気がいたします。
第1部が終わって退場のあと、佐藤ゆり先生から、ムジカおさらぎの紹介と来春の第25回演奏会に向けていっしょに歌ってゆきましょうとの呼びかけがありました。
第2部は弦楽合奏で、古典名曲3曲とアンコール1曲の演奏がありました。
第3部では「オーケストラの響きと共に」と称して、主に歌劇の有名曲を7曲歌いました。オーケストラが鳴り始めるとすぐに曲を巡る情感と雰囲気が想起されるような曲目は、多くのお客さまに受け止めやすかったのではないでしょうか。
曲の初演時期を見ると、古い曲が1808年「田園交響曲」、新しいのが1926年「トゥーランドット(誰も寝てはならぬ)」です。100年200年を超える名曲の寿命と衰えることのない魅力をあらためて思い起こされます。200年前あるいはそれ以前のいわば歴史的な作品が日常的に身近に存在し、楽しまれる芸術は、音楽が第一かもしれません。
当日午前中の練習の折に受けた指摘を強く意識しながら、団員全体が「本番での強さ」を遺憾なく発揮して、堂々と自信をもって歌うことができました。
最後に、会場のお客さまたちとともに「故郷(ふるさと)」を大きな声で歌いました。多少古めかしい歌詞ながら、「故郷」が描く山川は日本の原風景、都市圏に住むものには少しばかり遠いけれど想像がかなう世界です。あの震災でも多くのものが失われましたが、この曲の詞にあるような愛着がひとつの心の支えでありつづけてほしいものと願いました。
演奏のすべてが終わって1階ロビーでのお客さまとの挨拶をする者、帰宅を急ぐ者と、いつもと同じ祭の終わりがやってきました。
こうして、お客さま、ムジカおさらぎオーケストラ、さまざまな形の裏方の皆さまに支えられて、演奏会は無事終了いたしました。
お客さまと団員から寄せていただいた募金は「東日本大震災あしなが基金」と「横浜YMCA対人地雷をなくす会」にお預けすることになりました。
すでに5月、ムジカおさらぎの新年度になりました。新たな仲間を加えて、また次のチャレンジに向けて歩みを進めようとしています。